ロイター通信は5日、米電気自動車(EV)大手テスラが新型の低価格車の開発を中止したと報じた。2025年に生産を始め、2・5万ドル(約380万円)ほどでの発売を目指していた。だが、既に中国メーカーがさらに安いEVを量産しており、価格競争が激化していた。
報道後、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はX(旧ツイッター)に、「ロイターはウソをついている」と投稿した。テスラの株価は5日、3・6%下落した。
EVの販売は、価格の高さや需要の一巡などで伸び悩んでいる。テスラの今年1~3月期の世界での新車販売台数は、前年同期より8・5%減と約4年ぶりに前年を下回った。現在は高級車を中心に販売しており、最も安い「モデル3」でも3・9万ドル(約590万円)と高価だ。そのため、新しい低価格車が注目されていた。
EV市場の伸び悩みを受け、米企業は相次いでEV戦略を転換している。米アップルがEVの開発を断念したと報じられたほか、米フォード・モーターも今月、一部の車種の発売を予定より2年延期すると発表。当面は、EVより安く人気が高まっているハイブリッド車の販売に注力する方針を明らかにした。(ニューヨーク=真海喬生)