国際社会に衝撃を与えた米国によるイラン攻撃。元外務次官で最高裁判事も務めた竹内行夫氏(81)は、米国の攻撃は「国際法違反」だと言い切り、国際秩序が危機に直面する今こそ「日本は平和国家としての基本的価値や原則を貫くべきだ」と主張する。竹内氏にその理由を聞いた。
――米国のイラン攻撃には「国際秩序を保つための一定の貢献と捉えることができる」という見方がある。
私は同意できない。
――なぜか。
国連憲章違反の武力行使にあたるからだ。人類は幾多の戦争の惨禍を経験し、「戦争は違法である」という原則に達した。その到達点が国連憲章だ。これによって紛争は平和的に解決されねばならず、武力行使は一般的に禁止されている。例外は、自衛権の行使と国連決議による集団的安全保障措置のみだ。この戦争違法化の原則が、冷戦やポスト冷戦期を通じた国際平和秩序となってきた。ところが今回のイラン攻撃は自衛権行使でも国連決議に基づく集団的安全保障措置でもない。ロシアによるウクライナ侵略も同じだ。
――トランプ米大統領は、イ…