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取材に応じる米バッサー大学のロバート・ブリガム教授=2025年4月7日、米ニューヨーク州ポキプシー、清宮涼撮影

 ベトナム戦争の終結から、4月30日で50年。泥沼化した戦争は、米国の威信を傷つけ、その後の米国の対外政策に大きな影響を与えたとされる。米バッサー大学のロバート・ブリガム教授は、米ベトナム両国の元当局者との対話を重ね、戦争を見つめ直してきた。50年後のいま、ベトナム戦争と米国の対外関与の姿勢をどうみるか、聞いた。

 ――ベトナム戦争を米外交史のなかでどう捉えますか。

 いまも中心的な見方は、米国はベトナム戦争において圧倒的な軍事力を政治的な帰結につなげられなかった、ということです。資料に基づいた歴史の詳細な研究がいまも行われており、学ぶべき教訓は多くあります。

 もともと1950年代には、植民地支配から新興国家が独立するなか、米国には「世界中で新たな国家を作る力がある」という、米国の力や近代化理論への強い信頼がありました。

 (北ベトナムへの大規模な空爆を開始した)ジョンソン政権には当初、「ケネディ前政権でできなかったことができるだろう」という期待がありました。ですが軍事的な手詰まり状態が長引いた。

ジョンソン大統領の心の内は

 ジョンソン大統領については…

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