米ニューヨークで2025年8月26日、映画のイベントに参加したバッド・バニーさん=AP

 米領プエルトリコ出身の人気ラッパー、バッド・バニーさんが、米当局がコンサート会場外で移民の取り締まりを行う可能性を理由に、次の世界ツアーで米国本土での公演を行わないと述べたことが、米メディアで話題になっている。

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 米国内では、「不法移民の大規模強制送還」を公約に掲げるトランプ政権のもと、移民税関捜査局(ICE)などが取り締まりを強化している。従来対象ではなかったとされる重大な犯罪歴のない移民を捕まえたり、審理を行う移民裁判所の建物内で拘束を行ったりと、強引な取り締まりも相次いでおり、不安や反発が広がっている。

 AP通信によると、バッド・バニーさんは7月から今月にかけて地元プエルトリコで30回の凱旋(がいせん)公演を行い、20日にも追加公演を行う。これに続き、11月からは来年7月まで中南米やオーストラリア、欧州をまわる世界ツアーを行う予定で、ウェブサイトによると、来年3月には東京公演も予定されている。

 ところが米国での公演は、大きな集客が見込めるにもかかわらず、一回も設定されていない。

 バッド・バニーさんは今月10日にネットで公開された雑誌「i-D」のインタビューで、政権による移民の強制送還政策が理由かと問われ、「実際のところそうだ」と認めた。

 バッド・バニーさんは「米国では何度もパフォーマンスをしてきたし、どれも成功だった。米国に住んでいるラテン系の人たちとつながれることも楽しんできた」と語った。そのうえで「ただ、ICEが(公演会場の)外にいるかもしれないといった問題がある。我々が非常に心配していることだ」と話した。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、プエルトリコでの公演は延べ60万人の集客があり、公演に直接関係しない支出も含めた総消費額は4億ドル(約590億円)に上ると試算されているという。

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