航空券込みで10日間20万~30万円の米国留学。
米国に留学中の元中学教諭が、高校生向けに米シリコンバレー短期留学プログラムを始めた。英語力や成績も不問といい、「留学のハードルを下げ、一歩を踏み出してもらいたい」と話す。
京都市立西京高校2年生の大石珠緑(みのり)さん(16)は今年3月、アップルやグーグルなど大手IT企業が集まるカリフォルニア北部のシリコンバレーに短期留学した。
現地では、日本語を学んでいる米国の高校生とペアになり、その高校生の家にホームステイしながら一緒に高校に通ったり、スタンフォード大やIT企業を訪問したりした。
自宅で保護猫を2匹飼っていることから、動物福祉に興味を持ち、留学のテーマにした。
事前のリサーチで、カリフォルニア州のペットショップでは保護動物しか販売してはいけないことを知り、4件の動物保護施設を探してメールを送った。そのうち1件から訪問を快諾する返信があり、もう1件はオンラインで話を聞けることになった。
あらかじめ英語の質問を用意して、何度も練習したが、実際のインタビューでは、相手の返答に対する英語での返し方が分からず、隣にいたペアが英語で書き起こしてくれたメモを後から読んで理解した。
「相手の話が分かればもっと聞けることがあった。思ったことを伝えられなくて、もっと勉強したいと思った」
これまで中学では高校受験、高校では大学受験のために勉強していて、その先に何がしたいのだろう、でも宿題はやらないと、と思いながら義務感だけがあったという。
でも、ペアになった高校生は、「授業は受けるものではなく、取る(take)ものだ」と言っていた。「授業で積極的に発言したり、教室まで楽しそうに走っていったり、生き生きと勉強していた」と振り返った。
応募時の英語力と成績は不問
留学プログラムは「ワールド寺子屋」。スタンフォード大とハーバード大の大学院を修了し、現在も留学中の元中学教諭、中村柾(まさき)さん(29)が始めた。
現地の高校と提携し、参加費は航空券込みで20万~30万円。現在、3回目の留学に向けた事前研修の参加者を今月21日まで募集中(http://edfuture.jp/?p=303)だ。
ワールド寺子屋の目的は、アントレプレナーシップ(起業家精神)を育むことだ。参加者一人ひとりが関心のあるテーマを掘り下げる「パッション・プロジェクト」に取り組む。
大切なのが事前準備で、自分の好きなことや関心がある社会課題を見つけ、教員経験があるスタッフとともに、具体的な行動につなげるための計画を考える。関連団体や関係者へのアポ入れやメールの書き方も学ぶ。
その一方、語学研修が目的ではないので、応募時の英語力と成績は不問にしている。
東京都の山脇学園高校3年生…