米国のイエレン財務長官が4月、中国を訪れた。訪中は昨年7月以来で、米中間の隔たりが大きい経済問題を話し合うためだった。かつて中央銀行の米連邦準備制度理事会(FRB)議長も務めた大物閣僚。中国側も李強首相、何立峰副首相、財務相、中央銀行総裁と会談相手を並べた。ところが訪中の間、他の米閣僚が訪れた時には見られない奇妙な現象が、中国メディアを中心に起きていた。
イエレン氏がどこで何を食べたのかが、しきりと報道されるのだ。
4月8日夜、今回の訪中の公式日程を終えたイエレン氏が、北京の繁華街にあるクラフトビール店「京A Brewpub」を訪れたと報じられた。頼んだビールは、濃い苦みで知られ、中国でも人気のIPA(インディア・ペール・エール)。一口飲んで「素晴らしい」とつぶやいたという。
中国を訪れた要人が飲食する場面が、注文した品も含めて報道されることは、正式な宴席を除けばほとんどない。まして、大国間の緊張関係が続く米国の閣僚とあれば、その行動はしっかりガードされているのが当然だ。
ところが、イエレン氏の場合、昨年の訪中からそれに当てはまらない事例が続いている。
始まりは、キノコだった。
居合わせたインフルエンサー、始まったグルメ報道
昨年7月、北京を訪れたイエ…