東京都と埼玉県で9月28日未明から10月1日にかけて、男ら複数人が住宅に押し入り、住民を襲う強盗致傷事件が3件相次いだ。犯行グループの一部は逃走を続けており、警察は関連を含めて捜査している。東京都国分寺市で発生した事件では、被害に遭った住人の60代の女性を助け、110番通報した新聞配達員の男性が、異様な現場の状況を朝日新聞の取材に語った。
4日間のうちに半径10キロ以内で似たような時間帯に住宅へ侵入して住民を襲う強盗事件が3件起きた。
9月28日未明には東京都練馬区の住宅に窓ガラスを割って侵入し、親子にけがをさせた強盗致傷事件が発生。5人以上のグループとみられるといい、警視庁はこれまでに男3人を強盗致傷容疑などで逮捕したが、一部はまだ逃走している。逮捕された男らは「闇バイトに応募した」という趣旨の話をしているという。
国分寺市の事件があったのは、その2日後の30日午前4時ごろ。警視庁によると、男らは女性宅の裏口から侵入し、物音に気付いた女性と鉢合わせになった。「騒ぐな、殺すぞ」と脅したうえ、女性を殴り、左腕骨折などの重傷を負わせた。犯行グループは5人ほどとみられ、いずれも逃走したという。
埼玉・所沢でも緊縛強盗 犯行グループは「トクリュウ」か
埼玉県所沢市では1日午前2時ごろ、住宅に複数人の男が押し入る強盗致傷事件があった。県警によると、男らは1階勝手口のガラスを割って侵入し、住人の男性(85)と妻(83)の手足を粘着テープで緊縛。刃物で切りつけて「お金早くしろ」などと脅し、現金約8万円を奪って逃走したという。男性が左腕などにけがをしている。
県警によると、押し入ったのは少なくとも4人で、現場には車で来たとみられる。被害者から110番通報を受けて駆けつけた警察官がそのうち1人の男を住宅の近くで見つけ、強盗致傷容疑で現行犯逮捕した。ほかに周辺にいた2人の男を確保して事情を聴いているという。
捜査関係者によると、逮捕した男は秘匿性の高いアプリで仕事を受けたと供述している。SNSなどを通じて緩やかに結びつく「匿名・流動型犯罪グループ」の可能性がある。
警視庁などは、これらの事件に関連があるかも含めて捜査している。(恒川隼、浅田朋範)
全身粘着テープにあざだらけ 助けを求める被害女性 国分寺の強盗事件
まだ薄暗い住宅街を、全身を粘着テープでしばられ、あざだらけになりながら助けを求める女性――。
30日午前3時過ぎに始めたこの日の配達は、あと少しで終わろうとしていた。午前5時ごろ、国分寺市西恋ケ窪で路肩にバイクを止め、配達先に向かう男性に、年配の女性が近づいてきた。
「むー、むー」。粘着テープがまかれた口で、必死に何かを訴えている。両手は後ろ手にされ、粘着テープで縛られていた。粘着テープは髪にも付き、足元は絡まった粘着テープを引きずっていた。強盗事件の被害者だった。
街灯の明かりで顔を見ると…