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米科学アカデミー紀要に発表した論文

 論文の捏造(ねつぞう)や、査読・編集に関する「詐欺」的な行為が横行している可能性に米ノースウェスタン大のグループが警鐘を鳴らしている。大規模なデータ解析と事例研究により、組織的に科学を偽装する不正が増えているおそれを指摘し、米科学アカデミー紀要に発表した。「問題の深刻さを認識し、対策をたてる必要がある」としている。

 科学誌に投稿された論文は通常、編集者が専門分野の研究者に内容を審査する査読を依頼し、掲載に値すると認められれば受理される。論文はデータベースに蓄積され、その引用数は研究者の評価や大学ランキングなどに影響する。

 グループは、論文と担当編集者が公開されている米科学誌プロスワンなどを解析した。プロスワンは、編集者として多数のボランティアの研究者が査読や受理を担当している。2022年の論文撤回監視サイト「リトラクションウォッチ」によると、プロスワンは査読が操作されていたなどの理由で100本以上の論文を撤回した。

 グループは、06~23年にかかわった編集者1万8329人について、論文に対する疑問が投稿されるサイト「パブピア」の指摘や、撤回の関係を解析した。

 27万6956本の論文のうち2241本についてパブピアで指摘があり、702本が撤回された。撤回された論文の3割は45人の編集者が担当していた。この45人は全体の1.3%の論文を扱っていただけで撤回率が高い。

 このうち25人は、後に撤回…

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