千葉科学大学(千葉県銚子市)を運営する学校法人加計学園(岡山市)が、同大を「公立大学化」するように銚子市に要請したことを受け、市がその可能性や是非を検討するために設けた「千葉科学大学公立大学法人化検討委員会」の第2回審議会が12日、市内で開かれた。市民ら123人が傍聴した。
市はこの日、同大の誘致にあたって試算した経済的な効果が、当初の想定を大きく下回っていると明らかにした。
開学前の2003年、市は「広報ちょうし」誌上で、「地元にもたらす経済効果は毎年69億円」と伝えた。学生や教職員約2600人の生活費やアパート代、アパートの建設費などを積み上げて試算したものだったという。
しかし、昨年5月現在の在学生1534人、教職員171人などの実数から改めて試算したところ、市にもたらす経済効果は当初推計の3割強の約22億円と再算定し、市が期待した水準ではないことを示した。
大学誘致にあたっては、市は、約10ヘクタールの用地を無償で貸し付けたほか、キャンパスなどの建設費など約77億5千万円を負担した。起債に伴う償還は、05年度から25年度まで続き、元利合計で約81億5548万円となっている。毎年約4億円を償還に充てたことで、市の貯金にあたる財政調整基金が13年度には161万円まで減少した。
市は次回6月の審議会で、大学を公立化した場合の26年度から10年間の収支見通しを試算し、提示する予定だという。
また、この日の審議会では、加計学園側から、22年度の各学部の教育活動収支も報告された。全体で3億8407万円の赤字で、薬学部は2億3643万円、危機管理学部は1億4655万円の赤字。一番少ない看護学部でも107万円の赤字だった。
小栗一徳委員(公認会計士、税理士)からは「数字を見る限りは、バケツに穴が開いている状態。まず塞ぐしかない。収支が均衡している学部を残し、銚子のニーズにあった学部学科の創設を考えるしかない」との意見が出た。
矢尾板俊平委員長(淑徳大地域創生学部長)は「大学側が正確な数字を示さないが、ここで議論が止まっているわけにはいかない」といい、今後の論点として①地元地域の人材ニーズ②学生の学修ニーズ③他大学との競合性④教育の質⑤ガバナンスの健全性、の5点を提示した。
第3回会合は6月下旬に開かれる予定。(根岸敦生)