経済産業省所管の官民ファンドINCJ(旧産業革新機構)は14日、保有する液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(JDI)の株式の売却が完了したと発表した。INCJはJDIに累計4620億円を投融資したが、JDIの業績不振のために1547億円が回収できなかった。JDIは厳しい事業環境の中で赤字体質を抜け出せず、企業価値は低迷している。
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INCJの志賀俊之会長は「13年間リスクを取って投資してきた結果とは言え、累計投融資額に対して66%の回収にとどまり、申し訳なく思っている」などとコメントした。
JDIは日本のディスプレー産業の復活を目指した国策企業として、INCJが2千億円を投じ、ソニー、東芝、日立製作所の事業を統合する形で2012年に発足。当初は事業を拡大させ、14年に株式を上場したが、中韓勢の参入で競争が激化した。16年にも750億円の追加支援を決定するなどしたが、JDIは上場以来、一度も黒字化できず、株価も公募価格の900円を上回ることなく現在は10円台で推移。INCJは当初想定した売却益を得られなかった。
20年に民間の資産運用会社…