野ネズミの大家族を描いた「14ひきのシリーズ」(童心社)などで知られ、栃木県益子町に住んでいた絵本作家のいわむらかずおさんが昨年12月に85歳で亡くなった。ゆかりのあった2人に、思い出を語ってもらった。
農場が創作の源に
いわむらさんは東京生まれ。30代半ばで栃木に移住し、1998年に現在の那珂川町に「いわむらかずお絵本の丘美術館」を開いた。
近くに住む農業の佐藤幸男さん(82)は、美術館が計画された90年代に知り合った。「名前も、何をしているかも知らなかった」と笑う。長年のつきあいを通して「兄貴のような存在になった。知り合えて、とっても幸せだ。先生にほれ込んだよ」。
佐藤さんは美術館に接するように畑を持ち、牛も飼っていた。いわむらさんから子どもの農場体験に協力して欲しいと頼まれ、二つ返事で引き受けた。いわむらさんに請われ、近くの水田も、幼なじみから借りた。
農場や水田は、子どもたちが…