大相撲夏場所(東京・両国国技館)で綱とりの期待がかかる大関大の里(24)=石川県津幡町出身、本名・中村泰輝(だいき)=が12戦全勝とし、23日にも2場所連続優勝を決める可能性がある。新入幕から所要9場所での昇進となれば、年6場所制が定着した1958年以降で最速。大の里が巣立った地元相撲教室の子どもたちもエールを送る。
「とにかく前に出ろ。引くな」「脇を締めて」「ここ(練習場)だけで勝てる稽古をしてたらだめなんやぞ」
津幡町総合体育館の一角にある相撲場で、指導の声が響く。週2回開かれている津幡町少年相撲教室。壁に掲げられた「中村泰輝」の卒業記念木札が、体を火照らせて稽古に励む小さな力士たちを見守っている。
石川県のほぼ中央に位置し、昔から交通の要衝だった津幡町では力自慢が多く、相撲が盛んだった。教室は1973年に始まり、大の里も小学1年で門をたたいた。現在は小中学生約30人が通う。
大の里の父、知幸さん(49)にも相撲経験があり、息子を「半ば強制」で相撲道に進ませたと振り返る。小学5年の半ばまでは同年代と比べて大きな体を生かし「無敵だった」という。だが、周囲も成長し、以降は思うように勝てなくなった。「自分をもっと追い込みたいという思いが、中学から県外(新潟県)に進学することにつながった」と知幸さんは語る。
教室によると、大の里は県外…