観光振興のための新財源として期待される北海道の宿泊税の新設が遅れている。道条例は昨年12月に成立したが、新税新設に必要な総務省の同意が得られていない。道税は倶知安町を適用除外にするという「前代未聞」の条例。徴収方法の違いを乗り越える苦肉の策だが、宿泊業界が反発するなど、難航している。
道の宿泊税は、宿泊料金に応じて100円~500円を徴収する段階的定額制ながら、特例として倶知安町は適用除外とする。道内でいち早く宿泊税を導入した同町は宿泊料金の一律2%を徴収する定率制で、両者の意見が最後まで折り合わなかった。町が徴収した税のうち、道税に相当する金額を道に納める仕組みで、倶知安町は3月に、税率を3%に引き上げる条例改正を行った。
この複雑な仕組みに反旗を翻したのが、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)だ。「地方税法にのっとり、厳正なる措置を求める」として1月、総務省に道条例を認めないよう求める要望書を提出した。倶知安町の条例は徴収した税を「同町の魅力向上に使う」となっているのに一部を道に納めるのはおかしいとして、他地域でも、同様の混乱が起きかねないと訴えていた。
総務相の諮問機関である地方財政審議会でも、この点について懸念が示された。
2月4日の会合では「要望書には北海道の関係団体も名を連ねており、観光・宿泊事業者との調整状況について、道に対して確認をするべきだ」との意見が出た。道は3月21日に審議会で「団体からは理解を得られた」などと説明したが、5月になっても審議会のお墨付きは得られていない。
総務省の同意は、審議会のお墨付きを経て、申請から約3カ月程度で得られるのが標準的。鈴木直道知事は4月24日の記者会見で、約4カ月たってもまだ同意が得られない点について「丁寧に審議していただいているのではないか」と述べるにとどめた。
道内宿泊者の7割を占める7…