前橋育英の原田。チーム初安打を放った=2025年7月27日午前10時20分、上毛敷島、八木正則撮影

(27日、第107回全国高校野球選手権群馬大会決勝 前橋育英3―4健大高崎=延長十一回タイブレーク)

 延長十回1死二、三塁、前橋育英の選手たちはマウンドに集まり話し合い、勝負に出た。

 次打者を申告故意四球とし満塁に。次を併殺に打ち取ると、前橋育英の原田大聖主将(3年)は「よっしゃー!」とチームに向けて大きくガッツポーズした。三塁側スタンドは大歓声に包まれた。「みんなの思いが一つになった結果だ。ああ、やっぱり野球って楽しいな」

 2013年に第95回全国高校野球選手権大会で全国制覇を成し遂げた前橋育英。新型コロナウイルス禍による20年の第102回選手権大会の中止を挟み、16~21年に5大会連続出場を果たした。2000年代に入ってからは群馬県内最多の出場を誇る。

 原田は昨夏の群馬大会でも4番を担い、健大高崎と準決勝で対戦。九回裏に6点差を追いつく激闘を見せ、延長十回タイブレークの末に8―9で敗れた。

 新チームとなり、昨秋と今春の県大会準決勝で健大高崎に惨敗した。春は守備の失策が重なり大量失点につながった。大会後、3年生全員でミーティングを開いた。

 「レベルが高い健大高崎とは技術の差がある。このままじゃ勝てない」。原田が中心となり部員の意見を引き出し、じっくり話し合った。

 そして、「全員が一球一球に対してもっと本気で取り組まなければダメだ」「当たり前に思えることを、当たり前に」とチームがまとまった。キャッチボールの一球、ノックの一打にも集中し、部員みんなが気持ちを一つにして、練習に打ち込んできた。

 この日の決勝は健大高崎から先取点を奪い、延長戦まで持ち込んだ。サヨナラ負けしたが、熱戦に球場から大きな拍手が送られた。

 野球に触れた小さな頃から、球拾いやバット引きすら楽しくて、野球が大好きで仕方なかった。高校最後の試合を終えて「自分たちが持っている力は出し切れた。みんなが一つになって、今までで一番いい最高の試合ができた」と語った。

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