曇り空の下でも、春らしい風が吹いた4月下旬の北京。米国のブリンケン国務長官は天安門広場に面した、巨大な柱がそびえる人民大会堂に入った。習近平(シーチンピン)国家主席との会談がセットされていた。

 今回のブリンケン氏の訪中は、中国などのSNSで「中国側に歓迎されていないのでは」という臆測が飛び交った。

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 ブリンケン氏は、習氏が待つ会談場所の部屋に足早に入った。握手はわずか1秒。形式張った儀式に、お互い笑顔はなかった。

中国・北京の人民大会堂で2024年4月26日、習近平国家主席(右)と会談するブリンケン米国務長官=AP

 習氏は、雄大な武夷山の絵を背に、「コ」の字形に並べられた大きな机の中央奥、「議長席」のような位置に座った。ブリンケン氏ら米代表団は習氏の右側の席に、中国側は左側の席についた。

 これは習氏の重要講話を、中国共産党の部下の幹部が聞くときのような配置で、習氏の立場の強さを強調するかのようだった。

 昨年6月にブリンケン氏が訪中して習氏と会談した際にも同じ席の配置だった。それまで、国務長官として訪中したティラーソン氏やケリー氏を迎えた際には、応接用の椅子を同列に隣り合わせるなど対等な配置だった。国家主席と国務長官は同格ではないが、中国側は客人として米国の筆頭閣僚を処遇していたように見えた。

 しかし、米中対立が深刻化するなか、そうした慣例はやめ、格の違いを見せつけるようにしたようだ。

 ブリンケン氏が上海の空港に到着した際には、「レッドカーペットが敷かれていない」との指摘も中国のSNSで出た。

 だが、米政府はこうした中国の対応は気にしていないようだ。アジア圏のように上座、下座を重視する習慣がないこともあり、米国内では席の配置に注目する声もほとんどなかった。

「歓迎されてない?」 元米高官の答え

 「中国による空港での待遇は…

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