(15日、第107回全国高校野球選手権福島大会2回戦、郡山商8―7会津)
郡山商のマウンドに上がったのは背番号2、伊藤匠生主将(3年)だった。「緊張した」
高崎藤弘監督の〝奇策〟にはエースの不調もあるが、もう一つ狙いがあった。「チームの信頼が厚い。彼が投げれば、周りの選手たちもいっぱい点を取ってやろう、となると思った」と。
狙い通りだった。一回、先頭打者の管野新大選手(2年)は、会津の先発投手の投球を見て「コントロールがよさそうだ。甘めに入ってきた球を逃さないように」と打席へ。高めの直球を中前へ打ち返した。
犠打と2四球で1死満塁となり、5番の米倉卓重選手(3年)は「走者をかえすだけ。思い切り振り抜く」。左前へ先制の2点適時打を決めた。二回までに6得点。伊藤主将は「気持ちが落ち着いた」と振り返った。
七回表の終了直後に雷雨で1時間あまり中断した。選手らは「気持ちを切らさないように心がけた」と口にする。再開直後、伊藤投手は先頭打者に四球を与えた。六回までに3回あった先頭打者の出塁はいずれも失点に。
1死後、二盗を狙った走者を本田千尋捕手(1年)が刺す。中学の野球クラブでも後輩だった捕手に「あれは助かった」と伊藤投手。
目標の8強まであと1勝。次戦は聖光学院。「やってやろうという気持ちです」と主将は力を込めた。