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昨年の「八重桜」の復曲上演の様子。曲目は「奈良八重桜」とした=奈良八重桜の会提供

 1100年余り前から始まり、各地の薪能の起源とされる「薪御能」が16、17の両日、奈良市の春日大社と興福寺で催される。奈良発祥の観世、金春、宝生、金剛の「能楽四座」と狂言大蔵流が一堂に会する、数少ない機会だ。今年は復曲能「八重桜」をはじめ、大和ゆかりの曲がそろった。

記事の後半で、「八重桜」の復曲を手がけた1人、金春流能楽師の金春穂高さんに思いを聞きました。

 薪御能は、平安前期の869(貞観11)年に興福寺修二会で演じられた猿楽をはじめとしている。猿楽は時代を経て室町前期に能楽として整った芸能となり、現在に受け継がれている。

 能楽のほか、古式ゆかしい儀式も見どころだ。春日大社の「咒師走(しゅしはしり)の儀」で奉納する「翁」は、まじないの要素を含む猿楽の呪師芸能をしのばせる。「御社上(みやしろあがり)の儀」は橋掛かりが右側にかかる、珍しい舞台を用いる。

 興福寺「南大門の儀」では、演能前に僧兵が芝に紙を敷いて踏んで状態を確かめる「舞台あらため」をする。

 日程と曲、主な出演者は次の…

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