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頑丈な造りにして無事だった「能登手仕事屋」=2025年8月10日、石川県輪島市、東野真和撮影

現場へ! 復興へのともしび(2)

 石川県輪島市門前町。町名の由来となるかつての曹洞宗の大本山・総持寺祖院前に並ぶ商店街に、古民家風そば店「能登手仕事屋」がある。

 2024年1月の能登半島地震で、商店街の組合に加盟する35軒の大半が被害を受けた。今も11軒が仮設商店街で営業し、4軒が廃業したが、この店は無事だった。

 手仕事屋は現・店主の星野恵介(47)の父で、明治から続く豆腐店の店主だった正光(故人)が1993年に職人を雇って始めた。2007年に県内で2400棟以上が全半壊した地震の後、正光が「また必ず来る」と頑丈に補強したことが幸いした。

 正光は地方創生や交流・関係人口の拡大が声高に叫ばれる前から旗を振り続けた。出資を募り1999年、東京・銀座に能登料理店をオープン、03年に能登の自営業者が連携するNPOを創設、06年には能登のファンクラブを設立……。18年に75歳で世を去ったが遺伝子は受け継がれ、復興の原動力となっている。

「能登の資源は人」が口癖

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地震後、星野(奥)とともに炊き出しの料理を作る森さやか=2024年2月1日、石川県輪島市、本人提供

 地震から2週間ほどして、市…

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