丸一タクシーの車両の横に立つ丸一観光の木下恒喜専務=2024年6月15日午後2時48分、石川県七尾市矢田町、安田琢典撮影
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 石川県七尾市の老舗タクシー会社「丸一タクシー」が今月、営業の終了時間を能登半島地震前に戻した。地震の直後から物資を求める住民らを市役所まで運んだ同社。徐々に戻りつつある日常生活を支えるとともに、災害への備えも強化していく。

 丸一タクシーは1960年に創業した「七尾タクシー」が前身。94年に現社名に変更し、歴史あるタクシー会社として地元で親しまれてきた。28台(介護タクシー2台を含む)を有し、通常は早朝から翌午前2時まで営業してきた。

 地震発生は元日で、稼働は普段より少ない6台。配車センターで予約の電話をさばいていた柿島敏光・七尾営業所長は「この世のものとは思えない揺れだった。社屋は無事だったが、従業員のことが心配だった」と話す。

 翌2日は乗務員22人の安否確認すらままならなかったが、何とか1台を午後5時まで稼働させたという。乗務員の安全が確認できた3日には、物資や情報を求めて市役所などに向かう高齢者らを助けようと3台を走らせた。断水した住宅も多く、敷地内の4カ所の井戸も開放した。亀裂が入るなどして走行が難しい道路も多かったが、台数は少なくても、時間を午後5時までに短縮してでも、営業を続けることにこだわった。

 県の推計では、七尾市の高齢…

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