能登半島地震で大きな被害を受けた石川県珠洲市の旧駅舎のプラットホームで9日、地元の県立飯田高校吹奏楽部による定期演奏会が開かれる。地震でいつもの会場は使えず、部員も減ってしまったが、思わぬ縁から助っ人が現れた。
5月25日、飯田高校の校舎4階。窓の外に穏やかな海が見える一室には、ジャージー姿の吹奏楽部員に、オレンジ色のTシャツを着た大学生たちが交じっていた。
「音を押し出すんじゃなくて、破裂させるように」。顧問の声に、音をあわせる表情は真剣そのもの。2週間後には定期演奏会が迫っている。
例年は、学校の体育館が会場だった。ところが地震で損傷し、11人いた部員も転校などで8人になった。そんなとき、コラボを申し出たのが、地震で全国から珠洲に来ていたNPO法人「国際ボランティア学生協会(IVUSA)」の大学生たちだった。
きっかけは、あの1月1日。吹奏楽部副部長の大坪智弥さん(17)は、同市折戸町の崖上にある自宅で2度目の強い揺れを感じ、ベッドの上で布団をかぶってうずくまった。「ガタガタガタ」とものすごい音がして、屋根や柱が落ち、そして、家が倒壊して生き埋めになった。
大災害をきっかけに生まれた高校生と大学生たちの縁。ともに音をあわせて奏でるのは、希望を込めた、あの歌です。
息が苦しくなる中、手元のス…