温暖化を止めるには原発が必要だ――。アゼルバイジャンで開かれた国連気候変動会議(COP29)では、各国の政府関係者がそう強調するのを聞いた。世界の人たちは、原発を歓迎しているのか。COP29を取材する海外の記者たちに話を聞いてみると、他のエネルギーとの比較や経済状況との間での迷いや葛藤が垣間見えた。

 「非常に、非常に難しい問題だ」

 原発の必要性について質問すると、イタリアの雑誌編集者ダニエル・バーボンさん(52)はこう答えた。

イタリアの雑誌編集者のダニエル・バーボンさん=2024年11月17日、ゴブスタン、福地慶太郎撮影

 イタリアではチェルノブイリ原発事故の翌1987年と東京電力福島第一原発事故直後の2011年6月に行った国民投票の結果を踏まえ、原発の活用が認められていない。しかし、政府は脱炭素を進めるために原発の活用に前向きで、解禁を検討している。

 バーボンさんは、原発の建設に対する国民のコンセンサスは十分ではないと感じるという。「自分の家の近くに原発がほしい人はイタリアにいない。原子力は、国内で論争の的になっている」

 今回のCOP29期間中には、50年までに世界の原発容量を3倍に増やすという宣言に、新たに6カ国が加わり、賛同は31カ国に増えたことが明らかになった。

各国の原発をめぐる主な状況

 賛同国の一つ、スロベニアの…

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