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 人手不足を軽減する自動運転や、省エネなどの気候変動対策。こうした多様な社会課題の解決につながる技術として、独自の機能をもつ「塗料」が注目されている。

 白熱電球に照らされた二つの工場の模型。一方の屋根にはふつうの白い塗料が、もう一方には特殊な断熱塗料が塗られている。屋根裏の温度計を見ると、それぞれ65.9度と47.0度。20度近い差があった。

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ダンネストを製造・販売するSG化学の清水雅昭社長。エネルギーイノベーション総合展で断熱塗料を紹介した=2025年1月31日、東京都江東区の東京ビッグサイト、川原千夏子撮影

 この塗料はSG化学(東京都)が2019年から販売する「ダンネスト」。主に工場の屋根に使われている。埼玉県にある工場で塗布の前後を比べたところ、屋根裏の温度は68度から36度に、夏場(6~9月)の平均室温は32度から26度に下がった。

 塗料の最大の特徴は、空気の層だ。塗料に含まれる微小なアクリルの粒「中空ビーズ」が塗膜に空気の層を作り、熱を伝えにくくする。この構造が外からの熱を遮断するだけでなく、冬場は室温を逃がさないダウンジャケットのような役割を果たす。

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断熱塗料「ダンネスト」を塗布した断面を電子顕微鏡で見た写真。アクリルでできた粒「中空ビーズ」が空気の層となり熱を遮る=SG化学提供

 赤外線を反射しやすいよう白色酸化チタンを配合し、日射反射率92.7%と遮熱性も高い。遮熱や断熱の機能をもつ塗料は他にもあるが、両方を備えることで冬場の省エネにもつながった。

 これらの性能が大手損害保険…

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