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 次の衆院選で去就が注目されている自民党の吉野正芳・元復興相(75)=福島5区=が、少なくとも昨年10月に召集された臨時国会以降、一度も登院していないことが5日、衆議院事務局への取材で分かった。

 吉野氏の事務所は取材に、欠席の事実関係を認めたうえで「(吉野氏が)大けがをして足腰を中心に運動機能が低下し、自宅で療養しているため」と説明している。ひざを骨折した後、昨秋に車いすで転倒したとしている。「今の任期はまっとうしたい」と話しているという。

 国会の長期欠席は、参院選で当選後、出席しないまま昨春に議員資格を失ったガーシー(本名・東谷義和)氏や、病床から立候補して当選した故田中角栄元首相などの例があるものの、通常では、あまりない。

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 衆院議員が国会の召集に応じられない場合、議事関係法規に規定はないものの先例として、理由をつけた「応召延期届」を議長宛てに提出しなければならない。衆院事務局によると、昨年10月20日に召集された臨時国会と、今年1月26日に召集された通常国会で、吉野氏は応召延期届をそれぞれ提出した。臨時国会は登院しないまま閉会し、現在開会中の通常国会も、5日まで一度も登院していないという。

 吉野氏は、昨年の通常国会(1月23日~6月21日)で応召延期届は提出しなかったものの、本会議があった6月13、16、20、21日に欠席届を提出し、登院しなかったという。

 2021年の前回衆院選の福島5区では、共産党候補を破り、当選8回を果たした。小選挙区の区割りの見直しで、次の選挙から県内の5選挙区が四つに再編され、新4区の支部長に就いている。しかし、選挙区内には「公務をこなすのが難しいのではないか」(首長の1人)などと、健康面を不安視する声が根強い。

 自民党県連内にも、次の選挙での立候補を見送るべきだとの見方が出ており、国会の長期欠席には疑問の声が浮上しそうだ。吉野氏側はこれまで、後援会幹部らに対して次の選挙も立候補する考えを示しているという。(滝口信之、西堀岳路、岡本進)

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