Smiley face

 「ここは自民党の村だから」

 宮崎市から車で1時間半。九州最大規模の一ツ瀬ダムを越え、国道219号をさらに上った山奥に、人口約1千人の宮崎県西米良(にしめら)村はある。

九州山地の山奥 自民党の比例得票率は全国トップの70% 

 村中心部で長年旅館を営む女性(83)は言った。「ここは村全体が自民党。親の代から、ずっと自民党に投票してきた」

 そんな村で、自民党総裁選はどう見られていたのか。投開票日の27日、記者が歩いた。

 総務省や朝日新聞の衆院選(比例区)のデータを見ると、直近5回の村の投票率は90%を超える。前回2021年は90.11%で、市町村別では全国2位だった(1位は北海道利尻富士町の90.33%)。自民党の得票率は、70%で全国トップ(2位は山口県長門市の64%)だ。

 村にコンビニは1軒もない。全国チェーンの飲食店もない。自民党のポスターはあちこちに貼ってあった。野党のポスターはほぼ見あたらない。

 旅館を営む女性は、「野党のポスターは村に1枚だけでしょう。うちの旅館の外壁に貼らせてあげた」という。21年の衆院選を前に、村を回った陣営のスタッフがポスター掲示を断られ続け、うなだれる様子を見かねて協力したという。

 この女性は27日、朝から総裁選の情報を流すテレビを眺めていた。総裁選期間中は、周囲に「あんたは、どの人がいいね」と話を振った。返事は、「あの人は見た目が好かんねえ」とか「この人は笑顔が良いよね」とか。「まあ誰がなっても一緒やわ。見ての通り、老人ばかり。何かを期待しているわけでもない」

前村長が語った自民党支持の背景「イデオロギーじゃない」

写真・図版
村の中心地にある「村所駅」と呼ばれるバス停。鉄道はなく、主に村営のバスが子どもや高齢者らの交通の足となっている=2024年9月26日午後5時2分、宮崎県西米良村、福井万穂撮影

 記者が道々で聞いた村人も「…

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