リーグ残留を決めた芝野虎丸十段。挑戦の目もわずかに残っている=30日、東京・市ケ谷の日本棋院

 第50期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は30日、前名人の芝野虎丸十段が福岡航太朗七段に249手までで黒番中押し勝ちし、通算4勝2敗でリーグ残留を決めた。福岡は5勝2敗に後退。これにより1敗がいなくなり、挑戦権争いは現在6戦全勝の井山裕太王座が優位に立った。

 芝野、福岡は東京・洪道場出身の六つ違いの兄弟弟子。両者の対戦は3年前の若手棋戦以来で、最高峰のリーグ戦の上位対決で再戦することになった。

 序盤、福岡は巧みな打ち回しで有利に進めたが、芝野は上辺に大模様を張り、この陣地のまとまり具合が勝負になった。福岡が右上隅に陣地侵食の足がかりを求める様子見の手を放つと、芝野は大胆にも手を抜いた。中央の模様の穴をふさぎ、「やってこい!」と言わんばかりに右上隅の福岡の策動を待った。

 福岡は手抜かれた様子見の一手の顔を立てなければならない。ここに黒石の重包囲下に置かれた福岡の白石の生死を巡る難解な攻防が始まり、結果、コウ争いに。芝野はコウを譲って白石を隅に封じ込めて小さく生かし、その代償として上辺に大地を築き、勝負を決めた。

 リーグ戦は1敗がいなくなっ…

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