芥川賞に続き、直木賞も該当作なしとなった=2025年7月16日午後7時55分、東京都内、浅野哲司撮影

 第173回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が16日、東京都内で開かれ、芥川賞と直木賞のいずれも「該当作なし」に決まった。両賞とも受賞作が選ばれなかったのは1998年1月の第118回以来、27年ぶりで、史上6度目だった。

  • 【全候補作はこちら】芥川賞と直木賞まもなく発表 選挙期間中の選考会、全候補作を紹介

 選考会は午後4時から始まり、まず芥川賞の該当作なしが決まった。2011年7月の第145回以来、14年ぶり。

 選考委員の川上弘美さんは「芥川賞には何らかの新しい試みや視点をもたらしてほしいという意見があった」とした上で、今回候補になった4作は「それぞれに心引かれるものがありながら、何かが足りなかった。選考委員としても、受賞作を出せなかったのは残念です」と話した。

 直木賞の受賞作が出なかったのは、07年1月の第136回以来、18年ぶり。選考は異例の長時間に及び、選考委員の京極夏彦さんは選考会を終えて開口一番、「長くても3時間で終わる選考が4時間かかった。大変白熱した議論でした」と述べた。

 今回は候補6作の「レベルが拮抗(きっこう)しており、突出して高い評価を集めた作品がなかった」と説明。その後も議論を深めたが、「どれか一つを選ぶわけにはいかないというところに選考委員全員の総意として落ち着いた」と語った。

 書店の売り上げへの影響を尋ねられると、「これほど拮抗した作品である以上、どれも読者に届く作品。候補作になったということだけでも面白いことの証左です」と話した。

共有
Exit mobile version