小塩真司さん

 世に流行する性格診断を心理学の専門家はどう見ているのか。早稲田大学文学学術院の小塩真司教授に聞いた。

 ――私は知らなかったのですが、主に若者たちの間で性格診断が流行しているそうです。

 「一般に『MBTI』と呼ばれているものですね。数年前から若者たちの間ではやっているのは『16パーソナリティーズ』であり、実際には性格検査の『MBTI』ではありません。また、MBTI自体も、その方法論などをめぐり、昔から米国では多くの専門家から批判されてきました。一方で『16パーソナリティーズ』が、ひとつの企業の営利目的で提供されている点はとても気になります」

 ――そうなのですね。

 「性格というと血液型があります。戦前は一種のブームとなり、婦人雑誌とかで取り上げられました」

 「そのブームは戦後、いったん忘れられるのですが、1970年代に『血液型でわかる相性』という本が出てベストセラーになります。その後、だいたい10年ごとに血液型ブームがくる。2000年代初めには、血液型を扱うテレビ番組がすごく多いときがありましたが、徐々に沈静化していきました」

血液型、星占い…ブームの背景はみな同じ

 ――血液型ブームの前にも何かあったのですか。

 「干支(えと)ですね。何どし生まれだから性格はこうだ、とか。西洋であれば星占い。アジアの国では、何曜日に生まれた人と誰が相性がいいというのもありますが、いまの性格診断も含め、基本的にはツールが変わるだけで、ブームになる背景はみんな同じだと言えます。人間を類型化して、どこかにマジョリティーをつくり、どこがマイノリティーかという議論ですね。人々の間に優劣が示されると流行しがちです。多くの人は『自分はマジョリティーなのか』を気にする傾向にありますので」

 ――では、性格診断もいずれはすたれると?

 「学生たちの間では、血液型…

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