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質疑応答で生徒らと語り合う茂木健一郎さん(右)=湯浅町湯浅、伊藤秀樹撮影

 脳科学者の茂木健一郎さんによる出張授業が20日、和歌山県湯浅町の県立耐久高校であった。全校生徒約540人を前に、「世の中は君たちが思っている以上に楽しい。何か一つでも世の中に役立つことがあれば暮らしていける」とエールを送った。

 有田市で11月22~24日に開かれるイベント「エンジン01(ゼロワン)in和歌山有田」の関連企画として実施された。

 暑さがこもる体育館。茂木さんは「利他性」をキーワードに「将来、何をして世の中に役に立っていくのかを少しずつ考えてほしい」と熱く語りかけた。

 生成AI(人工知能)が進化し、仕事を奪われ失業してしまうリスクが指摘されている。茂木さんは、人工知能の進化で人間が生きがいを失っていくという研究があることを紹介。「(その仕事を)必要としている人がいるのかを常に考えないといけない」と述べた。

 お金をもらって仕事をすることは大変だが、「何とかなる」とも強調。自分が興味を持っていることや、人にやってもらいたいことを考えることが将来の仕事のヒントになるという。「役に立つ場所にたどりつくよう探ってほしい。人の鏡に映って自分の個性が分かる。社会の中のいろんな人に出会ってほしい」

 世界を見てほしいとも訴えた。日本の国力低下が叫ばれているが、海外では日本の漫画やアニメ、食文化の人気が驚くほど高いという。「もっと勉強して、そして日本の中の大切なものを世界に持って行こう」と呼びかけた。

 質疑応答では、勉強に集中できないという生徒に、脳科学の観点から「時間制限」をアドバイス。「20分だけ」などと時間を区切れば集中できると説明した。

 茂木さんは、文化や芸術などの著名人が講座を開くエンジン01の本イベントでも講師を務める。作詞家の秋元康さんや建築家の隈研吾さんらが参加を予定する。講座の申し込みは28日午前10時から。講座の詳細は「エンジン01in和歌山有田」公式ウェブサイトに掲載されている。(伊藤秀樹)

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