国際的に活躍する前衛芸術家の版画に焦点をあてた「草間彌生 版画の世界―反復と増殖―」展(朝日新聞社など主催)が25日に京都市京セラ美術館(同市左京区)で開幕する。24日に内覧会があり、水玉をまとった南瓜(かぼちゃ)など、色鮮やかで濃密な版画が披露された。
1929年に長野県松本市で生まれ、幼少期からの幻視・幻聴の体験をもとに、網目や水玉をモチーフにした作品を制作してきた。初の大規模版画展の巡回展で、故郷にある松本市美術館のコレクションを中心に約330点(前後期で全作品展示替え)を紹介する。
子どものころに親しんだ花々が登場する初期作から、木版画による富士山の連作、モノクロの「愛はとこしえ」シリーズなどを並べ、版画世界の全貌(ぜんぼう)に迫る。
松本市美術館の渋田見彰学芸員は「子どものころに描きたかったイメージや、多様な表現を実現してきたのが70年代から手掛けてきた版画だった。約330点の版画には、壮大な芸術活動の何かを読み取るヒントがある」と話した。展覧会は9月7日まで。