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国民生活センターが受けた「葬儀サービス」の相談件数

 葬儀の料金をめぐるトラブルが多発し、国民生活センターに寄せられた2024年度の相談件数は過去最多を更新した。不当に安い料金を強調する脱法的な広告も後を絶たず、行政処分に至るケースも出てきている。

 国民生活センターによると、「葬儀サービス」をめぐる相談件数は24年度に978件あり、統計が残る10年度以降で過去最多を更新した。南関東320件、近畿187件、九州北部70件と大都市を抱える地域で目立つ。

 相談件数は21年度に800件に達し、22年度は951件、23年度は886件と高止まりが続く。大半を占めるのが、「ネットで見た金額よりはるかに高額な請求をされた」「余計なオプションを付けられた」など料金をめぐる相談だという。

 消費者庁によると、葬儀をめぐる行政処分はこれまで8件あった。広告上は「追加料金不要」としながら、実際には追加料金が発生していたといい、「小さなお葬式」を展開するユニクエストは21年に1億180万円、イオンライフは19年に179万円の課徴金の支払いをそれぞれ命じられている。

 行政処分に至らずとも、脱法的な広告表現は後を絶たない。

 NPO法人の「消費者支援機構関西」は今年6月、ある業者に対し、ウェブ上の家族葬の広告の掲載停止を求める申し入れを行った。

 「家族葬 7万6千円~」と広告でうたっていたが、同機構が調べると、この料金で提供されるのは通夜・告別式を伴う一般的な家族葬ではなく、火葬のみを行う「直葬」というプランだった。

 あたかも、この料金で家族葬ができるように思わせる広告が、景品表示法で定める「有利誤認表示の禁止」などに当たると指摘したところ、業者からは「ご指摘いただいた表示物は削除(修正)となりました」との回答があったという。

 NPOで理事を務める松尾善紀弁護士は「広告で表示された料金と実際にかかる費用の乖離(かいり)が大きいことが、葬儀トラブルの原因になっている」とし、「広告上の料金でどこまで賄えるのか、追加でかかるメニューと料金はどれぐらいか、葬儀社側であらかじめ可能な限り掲載すべきだ」と指摘する。

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