藤井聡太名人(21)=竜王・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖と合わせ八冠=に豊島将之九段(34)が挑戦している第82期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第5局が26日、北海道紋別市の「ホテルオホーツクパレス」で始まった。同じホテルでは、プロが将来の棋士をめざす子どもたちに胸を貸す指導対局も行われた。
名人戦と同じ建物で同じ時間に
指導したのは真田圭一八段と田中悠一六段、竹部さゆり女流四段。北海道内の小学1年から高校2年の15人が挑み、プロ3人がそれぞれ同時進行で5人を相手に指す「5面指し」を披露した。
真田八段はあいさつで「我々3人ともこちらからは激しく攻めていかないので、落ち着いて指せば十分勝つことができるかな」とアドバイス。
田中六段は「自分で考えてしっかり狙いを持って指してもらいたい。同じ建物の中で名人戦が行われている。同じ建物で同じ時間に将棋を指したというすごくいい思い出になると思う」と話した。
竹部女流四段は「北海道はたくさんプロの棋士、女流棋士を輩出しているところです。今日がみなさんにとって始めの一歩になるかもしれないので、ぜひぜひこの一期一会を楽しんでいただけたら」と述べた。
時間内に勝敗つかない対局も
紋別中1年の見上結珂(ゆうが)さん(12)は、竹部女流四段に大駒のひとつ「飛車」を落としてもらう「飛車落ち」というハンディ戦で挑んだ。
時間が切れて勝敗がつかないまま終了することになったが「いい手を見つけられて良かった。藤井名人をめざしています。プロ棋士になりたいです。(第5局が指されている)上(の階)から、ものすごいオーラを感じて、その中で将棋を指せるのは光栄だなと思いました」と話した。
紋別市での第5局は、開幕3連勝後に1敗を喫した藤井名人が名人初防衛を果たすか、豊島挑戦者が連勝して復位に望みをつなぐか、注目の一局だ。
第2日の27日には田中六段と竹部女流四段が第5局の進行を実況解説する大盤解説会も行われる。(神村正史)