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「温故知新」と揮毫(きごう)した色紙を手に持つ藤井聡太名人=2024年6月13日午後3時46分、名古屋市中村区、小玉重隆撮影
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 初防衛を決めた将棋名人戦を象徴する言葉は何か。藤井聡太名人(21)が選んだのは「温故知新」だった。昨年、名人獲得の翌日に書いたのと同じ言葉に込めた思いは。八冠を保持する若き王者がめざすものは。

――「温故知新」。この言葉を選んだ理由は

 「昨年の名人戦でも同じ言葉を書いたんですが、今回、豊島九段が色々工夫の作戦をされて、今までとは違った展開の多いシリーズになりました」

 「それぞれの作戦はまったく新しいというよりは、今までも考えられてきた指し方と、それに加えて豊島九段の新たな工夫や新たな感覚というのを加えて昇華させた指し方が非常に多かったと思います」

 「その点でも、温故知新という言葉は今回のシリーズにもよく当てはまるものという気がします」

――昨年書かれた温故知新と今年書かれた温故知新は意味合いが違うのでしょうか

 「昨年の名人戦は角道を止めて少しクラシカルというか、昔よく指されていた形に近い将棋が多かったんですけれど、今回は昔からの指し方と新しい感覚を融合させたような指し方が多く、それは今後のトレンドにもなりうるものなんじゃないかなと感じました」

 「例えば第5局では、端の位を取っての振り飛車は昔から指されてきた形ではあるんですが、最近、再評価されているというところもあります」

 「その後、こちらが▲6五歩と突き捨てるような形になりましたが、これは、以前はなかった指し方になります。従来からあるところと新しいところ。両面を感じながら指していたというところがありました」

――昨年の名人獲得のインタビューで、昔の棋譜も並べてみたいと話していました。中原誠十六世名人の名前も挙げておられましたが、この1年の間に並べましたか

 「今、データベースとかにも結構昔の対局の棋譜が収録されていまして、意外と容易に見ることができる環境にもなってるので、結構見てみたということもあります」

 「中盤の重厚な押し引きであったり、そういったところはなかなか今の将棋では見られないところでもあるので、新鮮でもありましたし、勉強になったところも大いにあったと思ってます」

――主に中原十六世名人の棋譜ですか

 「中原先生や米長先生(邦雄永世棋聖)の棋譜などです。大山先生(康晴十五世名人)の将棋は奨励会のころに大山全集を並べていたんですけど、中原先生、米長先生の世代の将棋はこれまでしっかりと見る機会がなかったので」

――藤井名人はAIを活用した最新の研究もされていると思いますが、一方では昔の棋譜も学びながら、感覚をプラッシュアップしているということですか

今期の名人戦で出たというミスの要因をどう分析しているのか。八冠を保持する今、何をモチベーションにしているのか。20日に迎える伊藤匠七段との叡王戦第5局をどう戦うのか。名人に尋ねた。

 「研究の比重はAIを使って…

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