4年前の6月18日、札幌市東区の住宅街にヒグマが出没し、住民ら4人を次々に襲った。札幌市にクマが出没すること自体は珍しくないが、多くは南区や西区などの山林近辺。東区で人がクマに襲われるのは1878(明治11)年以来、143年ぶりだった。
「誰もが突然、被害者になり得る」
4年前、全身を140針を縫うなどの大けがをし、今なお後遺症に苦しむ男性が取材に応じた。
- 【当時のニュース動画】突如現れたヒグマ、住宅街を疾走 遭遇した時の対処法は
札幌市は事故を契機に、ヒグマ出没情報を公式LINEで広く発信しています。詳細はHP(https://www.city.sapporo.jp/kurashi/animal/choju/kuma/linehaishin.html
激痛「鉛筆の先端を突き刺し、えぐり回すような…」
2021年6月18日午前7時すぎ、干物製造販売店「ふじと屋」に勤務する安藤伸一郎さん(47)は、徒歩で札幌市営地下鉄東豊線・新道東駅に向かっていた。ふだんは車通勤だが、業務の関係で、その日はたまたま地下鉄で現場に向かう予定だった。
途中、ショッピングモール付近に、パトカーが多数とまっているのが目に入った。「店で何か事件でもあったのだろうか」と思ったが、深くは気にせず、そのまま先に進んだ。周辺ではヒグマ(体長161センチメートル、体重158キロ、4歳オス)の出没情報が相次いでいたが、安藤さんはその情報を全く把握していなかった。
駅まであと約150メートル。突如、背後から「バーンッ」と、すごい勢いの「何か」にぶつかられた。
音やにおいは感じず、「車だ…