米国による広島、長崎への原爆投下から、今年で80年。いまだ戦争も核兵器もなくならないなか、どうしたら少しでも平和に近づけるのか。被爆地とつながる各界の人たちに聞きました。
福井県の片田舎にいた80年前、私が5歳のころでした。福井や敦賀の街が空襲にさらされ、空が真っ赤に燃える風景を、祖母の背中で震えながら眺めた。あの恐怖感は今も覚えています。
広島と向き合うようになったのは1970年代半ば。自分の戦争体験というより、日本人のカメラマンである以上、ヒロシマを記録しなければと思っていたからです。
核兵器の使用は大きな過ちであり、人類が自らの手で地球上の生命や文明文化を壊滅させる可能性を明らかにした。何かの形で写真を撮り、考えたいと思いました。被爆から約30年経ち、広島の街は復興していました。でも、表層には見えなくなった「ヒロシマ」をこそ、意識化して視覚化する。それがやるべき仕事だと思いました。
最初の写真集が1979年刊…
