座談会に参加した神戸市外国語大の4人。左から寺地楓佳さん、塩見陸久さん、刈屋悠歌さん、中田怜さん

■フォーラム まちの未来を考える:2 主役世代

 朝日新聞デジタル連載「A-stories 8がけ社会とまちの未来」では、神戸市外国語大学で人口減少問題などを研究する中嶋圭介准教授と連携し、ゼミ所属の3、4年生18人が将来に向けた都市の課題や解決策を記者とともに考えました。議論に参加した学生と取材した記者が、改めて「まちの未来」を語り合いました。

  • 連載「8がけ社会」|縮小戦略で都市の未来描け 中嶋准教授インタビュー

■座談会の参加者

刈屋悠歌さん (3年)北海道登別市出身
塩見陸久さん (4年)大阪市出身
寺地楓佳さん (4年)滋賀県草津市出身
中田怜さん  (3年)兵庫県姫路市出身
小川聡仁   (26)東京ネットワーク報道本部記者
杉山あかり  (26)神戸総局記者

 ――8がけ社会に向かう今後、皆さんが暮らす都市はどう変わっていくと思いますか?

 中田 少子高齢化は防ぎようがないので、どの都市も東京以外は基本的に衰退していくでしょう。働き手不足で企業や経済が縮小していくのは避けられない。人口が多い都市は今後、介護の問題が増えていくと思います。

 寺地 道路や水道といったインフラが老朽化して補修や整備が必要になっても、そのための財政的な力が残っていない「二重苦」が待ち受けています。空き家問題も加速する。「ポツンと一軒家」状態になる地域が、都市の郊外でも増えていくと思います。

 塩見 労働人口を補うために外国人労働者が増えていくのは必然です。しかし長期的に考えると、外国人労働者のキャリアは安定していない。それでは社会が不安定になるので、外国人労働者の受け入れには、自治体や周辺住民の理解も必要と考えます。

 ――社会のかたちが変わっていく中で、都市はどのような姿をめざしたらよいと思いますか。

 塩見 周縁部に働く場を提供することは都市の役割であり、それが求心力にもつながるのではないでしょうか。企業誘致が、都市の生き残る手段になる。また、子育て施策を充実させることで人口が増えている兵庫県明石市のやり方はありだと思う。外からの転入による「社会増」がないと、生まれる子どもを増やす「自然増」も生じない。まずは人を呼び込み、そこからどうやって人を増やすかを考えるべきです。

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 刈屋 病院や役所などの生活インフラを都市の中心に集中させるコンパクトシティーは、子育てにも便利です。私もそうしたまちに住んでいましたが、学校や習い事、プールなどのレジャーもすべて近所で済んだ。一方で同じようなショッピング施設ばかりのまちには、あまり魅力を感じないのも事実です。

 中田 人口減少によって労働力や税収などが減る中、どこにお金をかけてまちのアピールポイントをつくり、人を呼び込むかが都市の未来にとって決め手になります。駅前に都市機能を集約するなど戦略的に都市をダウンサイジングすることで、衰退する速度をゆるやかにできるのではないですか。

 ――都市にとって人を増やすことは重要でも、実際は近隣の自治体間で子育て施策を競うなど、人を奪い合う現象が起きています。

「朝日地球会議2024」特設サイトはこちら

 「朝日地球会議2024」(10月25、26日は東京ミッドタウン八重洲カンファレンス、27~31日はオンライン)では、「『8がけ社会』を生きる~希望を持ち続けるためのヒント」と題し、リクルートワークス研究所主任研究員の古屋星斗さん、作家の九段理江さん、小説家の川村元気さんを招いたセッションを開催します。参加申し込みは特設サイトから。

 刈屋 社会増を競い合っても…

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