能登半島地震から4カ月が過ぎた。スポーツ界も復興支援活動に注力するが、当初「重い」空気があった。
3月下旬、柔道の総本山、講道館(東京都文京区)で約40人の小、中学生による2泊3日の「交流合宿」が開かれた。参加者の大半は、能登半島地震で被災した子どもたちだ。珠洲市の自宅が震災と津波で倒壊した新出海龍さん(12)は「柔道の本拠地で仲間と柔道ができてうれしかった」と話した。約300万円の合宿開催費用は、主催する全国柔道少年団と後援の講道館の予算に加え、都道府県少年団からの寄付で賄った。
「かなりの寄付をいただいたので、合宿をメディアに公開する必要があった。正直言えば、ひっそりとやりたい気持ちもあった」。全国柔道少年団の浜名三代子理事は、胸中を明かした。
浜名理事が合宿を計画したのは地震直後。1月中旬には関係各所との調整を終えた。その後は石川県内のインフラや住宅事情、そして現地の空気感を関係者から聞き取り、慎重に時期を待った。「(計画が)漏れたら、潰されると思っていた」
恐れていたのは、偽善のレッテルを貼られて、「炎上」することだった。今のところ、大きな批判はない。「やってよかった。無事に終わってホッとしている」
震災直後、石川県が一般ボランティアの活動を控えるよう呼びかけたこともあり、「行かないことが支援」「ボランティア自粛論」などの言説がSNSを中心に盛り上がり、支援に動く人々が非難された。
2011年3月に起きた東日本大震災。国内スポーツ界の中心的な存在である日本オリンピック委員会(JOC)の動きは早かった。震災2週後にはスポーツドクターらを被災地に派遣した。その後はオリンピアンと被災者の交流イベントを計154回開催。延べ867人のアスリート、延べ2万4082人の住民が参加した。JOCは10年間で約7・5億円の予算を投じた。
今回は慎重だ。「オリンピア…