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【動画】戦後80年 被爆者3564人アンケート3社合同企画「つむぐ」

 語り始める人、語れなくなる人、未来に希望を託す人――。被爆80年アンケートに答えた被爆者3564人の言葉からは、時の経過や世界情勢にあらがいながら、記憶を残そうとする姿が浮かび上がる。

【3社合同企画】つむぐ 被爆者3564人アンケート

原爆投下から80年。朝日新聞、中国新聞、長崎新聞の3社は合同でアンケートを行いました。被爆者たちが私たちへ託した言葉をみる。

 《被爆体験を話すのは、つい2カ月前から。光も見ず、音も聞こえず、己斐(こい)駅(当時)の駅舎の下敷きになり、這(は)いでてきた。綿のような雲のようなものが見えたとの事。はじめて今日、両足はケロイドだったことを話す》(93歳、広島県廿日市市、元ケアマネジャー代筆)

 原爆投下から80年となるなか、最近になって自らの体験を語り始めた人たちがいる。このアンケートが初めての機会となった人もいた。

 《家族にも同級生にも原爆の事はおたがい話していません。話せません。はじめて書いて、つらい事でした。高齢のため字もうまくかけません》(95歳、東京都町田市)

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アンケートの直筆

 アンケートの自由記述欄には震えるような文字が並ぶ。高齢化、病や障害によって衰える中、気力を振り絞って書いてくれた様子が感じ取れる。一方、子や孫などによる代筆も16・2%いる。

 厚生労働省によると、今年3月末時点で被爆者健康手帳を持つ人の平均年齢は86.13歳。人数は手帳交付が始まった1957年以来、初めて10万人を割り、9万9130人となった。

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被爆者数の推移

 自らの体験を語れる人が減るなか、体験の継承は差し迫った課題だ。

 昨年、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞した。「核兵器が二度と使われてはならないことを証言を通じて示してきた」などと評価された。

 《大変喜びました。しかし喜びだけですますことなく、核兵器も戦争もない世界の実現に向けてあきらめることなく歩みを進める者でいたい》(81歳、青森県弘前市)

 受賞をきっかけに体験を伝え始めた人もいる。

 《今まで被爆者だという事を…

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