将棋の第15期女流王座戦(リコー主催)の挑戦者決定戦が12日、東京都渋谷区の将棋会館で指され、西山朋佳女流二冠(30)=白玲・女流王将=が中七海(なかななみ)女流三段(27)に118手で勝ち、福間香奈女流王座(33)=清麗・女王・女流名人・女流王位・倉敷藤花と合わせ女流六冠=への挑戦権を獲得した。五番勝負は10月22日、東京都文京区で開幕する。
昨年9月の棋士養成機関「奨励会」退会後、女流棋士に転向した中は、本局まで9割近い勝率を維持する実力者。注目の新鋭との公式戦初手合で中盤まで一進一退の攻防を続けた西山だったが、終盤の寄せで力を発揮。勝負を決めた。
挑戦権を得た西山は「突っ張った将棋になって難解な形勢が続いていると思いました。(過去の)女流王座戦は不出来な内容も多かったので、少しでも良い将棋を求めて頑張っていきたい」と抱負を語った。
敗退した中は「仕掛けてからずっと自信のない将棋でした。自分の実力では仕方ない。勝ち上がらないとタイトル保持者と対局できないので対局できてよかったです」と振り返った。
「中さんは強い」
感想戦終了後、女流王座と挑戦者による会見が行われた。
女流棋界で長く続いている「2強時代」に割って入る可能性もある中の存在について、福間は「中さんは何でも指される本筋の将棋で的が絞りにくい。私は(3人のうち)最年長なので、技術や体力が先に落ちるのは免れない。維持、向上できるよう若い二人に食らいついていけたら」。
一方の西山は「中さんは完成度が高く、お強い方。今日は幸運な結果でした。私としては『福間さんと中さん』という構図になってしまわないように頑張っていきたい」と語った。
福間と西山のタイトル戦は22回目(福間11勝、西山9勝、進行中1)。対戦成績は過去91局(福間50勝、西山41勝)。現在1勝1敗の白玲戦七番勝負の進行によっては、今シリーズで通算100局に達する可能性がある。
女流棋戦では現在117局を重ねている清水市代女流七段(56)―中井広恵女流六段(56)に次いで2例目となる偉業だ。
福間は「意識していなかったのでビックリです。私にとって100局は『谷川VS羽生 100番勝負』。西山さんと対局できることで成長を実感しています」。
西山は「一生懸命やってきただけなんですけど、気付くと多くなりました。(2人で繰り返し対戦することによって独自の進化を遂げているように映ることを)『ガラパゴス』と表現していただいたり、たくさん対局を重ねられているのは光栄なことだと思っています」と話していた。