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規格外のポンカンを使った缶酎ハイの発売を井上浩之副知事(中央)に報告したJA高知とキリンビールの関係者=2024年10月22日、高知県庁、蜷川大介撮影
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 見た目が悪い規格外の高知県産ポンカンを原料にした缶酎ハイを、キリンビールが22日に全国発売した。多くが畑で廃棄されるはずだった果実20万個を活用するといい、期間限定で販売する。

 安芸市のかんきつ農家でJA高知県安芸地区果樹部長を務める千光士尚史さん(43)によると、形や色が悪くて売りにくい実は全体の1、2割ある。産直市場で安く売ったり、一部はジュースにしたりしてきたが、多くは畑で土にかえしていた。「商品にしたい思いはあったが、販売先探しに苦労し、課題だった」

 キリンビールは今年5月、規格外で廃棄予定だった横浜のブランド梨「浜なし」を「氷結 mottainai(もったいない) 浜なし」として期間限定で販売した。各地の産地を調べ、味や供給量から「モッタイナイ果実」の第2弾として、高知産ポンカンの規格外品を使うことにした。

 東洋町から芸西村まで県東部の46軒の農家が参加するJA県安芸地区果樹部が協力し、20万個分のポンカン果汁を売り渡した。さらに今後、商品が1缶売れるごとに1円をキリン側がJAに「寄付」し、農業振興に活用してもらう。JAは規格外品を減らす方策などに充てることを検討中という。

 22日にはキリンビールの近藤健太郎・四国支社長や千光士さんが、高知県庁で井上浩之副知事に発売を報告した。

 近藤支社長は「まずおいしく味わっていただき、次に(廃棄ロスや農家支援といった)商品のバックボーンも味わってほしい」。千光士さんは「県産ポンカンの本格出荷は1月。それまでに高知のポンカンを全国の人に知ってもらい、実際の果実の人気にもつなげたい」と話した。

 商品名は「氷結 mottainai ぽんかん」。アルコール度数は4%。参考価格は350ミリリットル缶179円、500ミリリットル240円(いずれも税込み)。(蜷川大介)

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