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堺市重度障害者歯科診療所の入る建物=2023年12月19日、堺市堺区、田添聖史撮影
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 親知らずを抜く手術のための全身麻酔で適切な処置を怠り、特別支援学校の男子生徒(当時17)を死亡させたとして、大阪府警は26日、いずれも歯科医師で堺市重度障害者歯科診療所(堺市堺区)の男性所長(55)と女性歯科麻酔科医(34)を業務上過失致死容疑で書類送検し、発表した。府警は大阪地検に起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。

 死亡したのは、府内の特別支援学校高等部3年だった富川勇大(ゆうた)さん。

 捜査1課によると、富川さんは昨年7月に親知らずを抜く手術を診療所で受け、全身麻酔を施された。所長ら2人は肺に酸素を送るチューブを富川さんの鼻から入れ、その後、チューブの先端が何らかの原因で気管から外れたという。富川さんは正常な呼吸ができなくなったが、チューブの位置の確認はなされず救急要請も遅れ、低酸素性虚血性脳症で翌月に死亡したという。

 府警に対し、所長はチューブの位置の異常を指摘しなかったことや救急要請の遅れについて「私のミスだった」などと説明。歯科麻酔科医は「チューブの位置の異常や食道挿管を疑えばよかったと思う」などと話したという。府警は、チューブの位置がずれた原因は特定できなかったとしている。

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