雄たけびが聞こえてきそうだ。佐賀県嬉野市の温泉街から車で約10分の県営岩屋川内ダム。高さ約60メートル、最大幅約190メートルの壁に巨大なゴジラが現れた。
手がけたのは、清掃機器大手「ケルヒャー」のドイツ本社から派遣されたチーム。同社は壁をキャンバスに見立て、高圧洗浄機を筆代わりにコケや土などの汚れを落として仕上げる「ダムアート」を世界各地で展開中で、今回はゴジラを描いた。11月15日に現地であった制作披露会で、チームリーダーのニック・へイデンさんは「世界的に有名なゴジラのアートに関われ、誇りに思う」と述べた。注意した点を取材で尋ねると、「一回汚れを取ると元に戻せないので、気を使った」と語った。
ゴジラが佐賀に出現した背景には、県が仕掛ける広報戦略があります。記事後半では、「島耕作」など話題のコラボを続ける県の情報発信事業やその効果について伝えます。
ゴジラが「観光大使」に
岩屋川内ダムは今年、完成50周年。ダムアートを知った県の県土企画課の田中俊匡さんが、節目にあわせて同社の日本法人に連絡し実現した。「ぜひ生でこの迫力を見て、ダムも知ってもらいたい」と田中さん。22日に完成し、雨など天候の状況にもよるが、来年1月末ごろまでは鮮やかなアートが楽しめるという。23日、長崎県佐世保市から見に来たゴジラファンの30代夫婦は「迫力がある。見応えがある」と口をそろえた。
なぜゴジラなのか…