(11日、春季近畿地区高校野球大会大阪府予選準決勝 履正社4―2関大北陽=延長十一回タイブレーク)
試合後、履正社の先発・今井珀翔(はくと)(3年)はすぐに気づいた。「六回からひじが下がっていた。疲労が原因かな」
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背番号10の右腕は140キロ前後の速球に、130キロ台のスライダーを織り交ぜ、五回まで毎回の7奪三振と快投。六回につかまり、途中降板。2失点の結果となったが、多田晃監督は「本当によかった」と褒めた。
今井はいま、自分の体の変化に興味津々だ。
きっかけは昨秋、右ひじの肉離れを起こしたことだった。自身がリハビリを続ける中、チームは府大会決勝で大阪桐蔭を破って優勝した。エースを争う一人として期待を受けながら、マウンドに立つこともできなかった。「どうやったらもう、けがをしないのか」
専門のトレーナーを頼り、ストレッチを一から習った。背中の柔軟性アップなどに取り組むと、制球が安定するようになった。「自分の力を発揮するために、絶対に必要なものだと思った」
それからはトレーナーが勉強に使う本を教えてもらい、分厚い解剖学の本を読んでいる。「暗記して、骨や筋肉がどう動けばどんな動作になるかを考えている」。肩やひじの可動域に関する知識を得て、体づくりに力を注いでいる。
そんな今井だからこそ、課題をすぐに特定できた。「いつものフォームで投げようとしてもできていなかった。次はできるようにしたい」
17日の決勝の相手は、昨秋と同じ大阪桐蔭。優勝すれば近畿大会出場が決まる。「悔しい思いをした分、春夏にかけようとやってきた」。アピールの春は、まだ続く。