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 松本サリン事件や地下鉄サリン事件が起きた当時、警視庁などを担当し、その後もオウム真理教事件の捜査に関わった警察関係者らの取材を続けてきた。今回の垣見隆・元警察庁刑事局長の証言により、当時の捜査の実相がかなり鮮明になったと考えている。

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聞き取りでオウム真理教の捜査について語る垣見隆・元警察庁刑事局長=2024年5月17日午後、東京都新宿区、吉田伸八撮影

 証言からは、いくつかの分岐点が見て取れる。仮に、そのどこかで垣見氏や幹部らが違う判断や対応を取っていたら、その後の捜査や事件の展開は変わっていたはずだ。

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 松本サリン事件の後、オウムとサリンとのつながりは濃くなっていった。警察庁は、宮崎県と山梨県で起きていた事件で教団施設を捜索する方針を立てたものの、実施に踏みきれなかった。

 警察側に事情はあった。教団…

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