保守派の評論家として知られた電気通信大学名誉教授でドイツ思想研究者の西尾幹二(にしお・かんじ)さんが1日、老衰で死去した。89歳だった。通夜、葬儀は家族で営む。後日お別れの会を開く予定。
1935年東京生まれ。東京大大学院修士課程修了。ドイツの思想家ニーチェやショーペンハウアーの研究者として出発し、60年代に三島由紀夫に注目され、論壇や文壇で頭角をあらわした。
戦争責任や皇室をめぐる問題などについてテレビの討論番組などで発言し、保守派の代表的な論客として知られた。97年発足の「新しい歴史教科書をつくる会」の初代会長に就いた。
著書に「ヨーロッパ像の転換」「ニーチェ」「全体主義の呪い」「江戸のダイナミズム」など。近著に「日本と西欧の五〇〇年史」(筑摩選書)。国書刊行会から「西尾幹二全集」を刊行中だった。