町亞聖さん(左)、谷川直子さん=東京都中央区、葛谷晋吾撮影

■町亞聖さん、谷川直子さん対談(下)

 親を介護し、看取(みと)った経験を持つフリーアナウンサーの町(まち)亞聖(あせい)さん(53)と作家の谷川直子さん(65)。それをふまえ、これからどう生きるか。メッセージのこもる対談2回目をお届けします。

  • 対談(上)はこちらから

 ――どんなふうに看取られましたか。

 谷川 在宅介護を始めた時、ケアマネさんから「プランを作りますが、最後はどうしますか」と聞かれて、「もう90代なので、延命治療はしないでけっこうです」と母は答えたんです。でも、いざ点滴をやめましょうと看護師さんに言われると、母は黙ってしまった。結局「あと2日でやめましょう」と言われ、わかりましたと。点滴をやめたらもって10日ぐらいだということで、心構えをしていきました。小林一茶の句に「いざさらば死(しに)げいこせん花の陰」という句があるんですが、毎日、まさにその「死げいこ」を積んでいったんです。

 そして家族に見守られ、父は息をひきとりました。点滴をやめると聞いた時は泣いたのに、最期は不思議と涙が出ませんでした。

 町 母が末期がんとわかった時から看取りは始まっていました。いつお別れしてもいいように覚悟していました。モルヒネにより意識レベルを落とすセデーション(鎮静)をする日も、意思疎通できる母と会うのはこれが最後だとわかっていながら、「いってきます」と声をかけ会社に行きました。テレビに出ている姿を見せることが母への恩返しでもありますから。

ヤングケアラーだった経験をもとに発信を続ける町亞聖さん=東京都中央区、葛谷晋吾撮影

 死ぬ前に人の体には様々な変…

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