10年前に「消滅可能性都市」とされた東京都豊島区は今回、「ブラックホール型自治体」になった。民間の有識者らでつくる「人口戦略会議」(議長=三村明夫・日本製鉄名誉会長)は24日、全国の自治体の「持続可能性」についてまとめた報告書を発表した。豊島区は10年前の同種の調査で23区内唯一の「消滅可能性都市」とされたが、今回は脱却。一方で出生率の改善が「極めて必要」と指摘された。
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報告書によると、移動傾向が一定程度続くと仮定した場合、豊島区は若年女性(20~39歳)の減少率が2050年までの30年間に2・8%にとどまり、14年の前回調査の50・8%から大幅に改善した。ただ、人口の移動がなく、出生と死亡だけの要因で人口が変化すると仮定した場合、同減少率は67・7%に達し、23区内では新宿区に次ぐ高さだった。
人口戦略会議は豊島区のように出生率が低く、人口増加を他地域からの流入に依存する自治体を「ブラックホール型」と定義している。
豊島区は出生率の向上が「極めて必要」とされた一方で、10年越しで「消滅可能性都市」からは脱却した。どんな取り組みを重ねてきたのか。
「池袋にこれだけ大勢の若者や観光客が来てにぎわっているのに、と思いますよね。当時は本当に驚いた」。区の担当者は10年前の調査報告を振り返ってそう話す。「消滅」という言葉が与えた衝撃は大きく、区は発表から8日後に「消滅可能性都市緊急対策本部」を設置した。
6割が単身世帯
区によると、「消滅」の要因…