ナマコ業者とみられる男性が、東京・豊洲市場の場外を訪れ、活況を紹介する動画=中国のSNSから

 「中国沿海の海産物も安心して食べて」。東京電力福島第一原発の処理水を「核汚染水」と呼ぶ中国で、海産物への風評被害に苦しむ漁業者らが、SNS動画などで安全性を懸命にアピールしている。中国政府やメディアがリスクを強調してきた中で、専門家に説明責任を果たすよう求めている。

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 海産物を扱う卸売業者や、海鮮を売りにした飲食店などが集まる東京・豊洲市場。

 「CHINA」と刺繡(ししゅう)が施されたキャップをかぶった男性が、スマホで自撮りをしながら大勢の人でにぎわう豊洲市場の場外を歩いている。

 「本当は海産物に対する日本人の考えをただそうと思っていたけれど、店の前にこんなに長い行列ができていて、まだその必要はありますか」

 今年4月、中国の動画サイトで公開された動画だ。処理水放出後も日本では海産物の安全性が大きな問題になっていないことを、中国の視聴者に伝える狙いがあるようだ。男性は中国のナマコ業者とみられ、他にもナマコの安全性を訴える動画を複数公開している。ナマコは中国で高級食材として扱われ、沿岸部で養殖されている。

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 安全性をPRするため体を張…

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