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財務省前に集まった人たちは、手をたたきながら「解体」を訴えた=2025年2月15日、東京都千代田区、田辺拓也撮影

メディア空間考 後藤遼太

 「およそ人は、信じたいものを信じてしまう」

 何やらSNS時代の警句のようだが、書かれたのは約2千年前。古代ローマの軍人で政治家のガイウス・ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)の「ガリア戦記」の一節だ。

 学生のころ読んだ名著をふと思い出したのは、「財務省解体デモ」の場だった。

 数カ月間現場に通い、話を聞いた数十人のほとんどが「SNSで流れてくる情報を見て、財務省が諸悪の根源だという『真実』を知った」と語った。そのうちの一人がぽつりと漏らした言葉が、カエサルの言葉と重なった気がした。

 「SNSで接するのは、自分と似た考えとか、聞きたい意見ばかり。それが周りをグルグル回ってるだけなんだとは、ぶっちゃけ分かってますけど……」

 SNS上で同じような意見に囲まれることを「エコーチェンバー」という。ソーシャルメディアに詳しい土方嘉徳・兵庫県立大教授に監修してもらい、自分のスマホで実験をしてみた。

 まず5日間、ユーチューブで…

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