石破茂政権が1日、発足した。経済やくらしに関わる政策では、岸田文雄前首相が敷いた路線を引き継ぐ方針だ。その一方で、賃上げに強く踏み込む姿勢を示し、農業や地域活性化では独自の対策を打ち出すなど、「石破カラー」もにじむ。
【最低賃金】「20年代に平均1500円」、困惑する中小企業
石破首相が成長戦略の柱として掲げるのが、最低賃金の引き上げだ。2020年代に全国平均で時給1500円を目指すとし、岸田前首相が「30年代半ばまでに」としていた達成時期を大幅に前倒しした。
今月1日から都道府県ごとに順次改定される今年度の最低賃金は、全国平均で過去最高の51円(5.1%)上がって1055円になる。20年代に1500円を実現するには今後5年間で445円の引き上げが必要で、単純計算すると年平均7.3%増となる。過去10年の引き上げ率は平均3.1%で、2倍以上の大幅アップが必要だ。
最低賃金は国の中央審議会が示す目安を参考に、都道府県ごとの地方審議会が具体額を決める。審議会は労使の代表と公益代表の有識者の3者で構成される。政府はこれまで、賃上げに取り組む企業への助成金を拡充するなどして経済界に理解を求めてきた。
だが、従来を大幅に上回る目…