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議会で賛否が混乱した愛知県扶桑町=2025年7月3日午後0時44分、同町役場、嶋田圭一郎撮影

 愛知県扶桑町議会が6月、議案に賛成したのか反対したのか、はっきりしないまま閉会してしまい、7月中に審議をし直す異例の事態となった。背景にあったのは、国会や地方議会での言い回し。あなたなら、気づけたでしょうか。

 町によると、6月19日の本会議で、町民から出された請願2件について、議長を除く議員15人が賛成か、反対か、態度を示すことになった。いずれも事前に委員会で審議され、「不採択(反対)とするべきもの」と決めていた。

 ここから、議長の声に聞き耳を立ててほしい。

 議長は、それぞれの請願について「委員長の報告は不採択であります」と切り出し、「本案は委員長の報告の通り決することに、賛成の方の起立を求めます」と続けた。

 議案(請願)に賛成し、採択すべきだと考えた町議1人が立ち上がり、反対する町議は座ったままだった。

 これを受け、議長は「起立少数であります。よって本案は委員長の報告の通り不採択とすることに決定しました」と言って締めくくった。

 この場面、本来は議案に反対する議員が起立しなければならなかったのだ。議長は「全員が戸惑い、ざわついたが、自分もパニックになってしまった」と話す。町長が誤りを指摘し、議会は7月25日の臨時会で審議をやり直すことになった。

 議長の呼びかけは「原案について賛成の方の起立を求めます」に改めるという。

 もし議案に反対するなら……。

 起立せず、座ったままです。

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